本物の素材と伝統の技術でつくる、温故知新な木の家づくりを現場単位で公開しています

2010年11月01日

住宅設計者の役割

今月のテーマは設計者の役割について

特に住宅の設計を行っている我々の役割について

少し語ってみたいと思います。

一般的な感覚で設計者又は建築家

といったらどんなイメージでしょうか?

たまたま隣に座っていた妻に聞いてみると、

「偉そうな口を聞く人」という唐突な答えが

返ってきました。図星です(笑)

皆さんのイメージはいかがでしょうか?

日本では設計者・建築家というと何となくカッコいいイメージや

自分とは全く関係のない世界で仕事をしている人という

身近でない存在と思われているのではないでしょうか。

確かに著名な建築家は世界を股にかけ、様々な建築物を設計し、

活躍しています。住宅をつくるにしても、作品性の強いものを

つくっていたりします。

そんなイメージが先行しているせいか、

自分の家をつくる際に、

「まさか設計事務所に頼むなんて」

「自分ちを作品にされてたまるか」

と思っている方が多いのではないでしょうか。

まして、「形にもならない設計料を払うなんてお金がもったいない」

と思っていらっしゃるのではないでしょうか?

そんな意見が一般的であるのも無理はありません。

なぜなら日本の住宅は大工さんたちがつくってきたからです。

今でもかなりの方が「家は大工さんがつくるもの」

そう思っているのではないでしょうか?

もちろん間違いではないのですが…

昔は地域の大工さんに家を頼めば、いい家が建てられました。

そういった伝統的な産業の中に、設計者やハウスメーカーなどが

参入してきたのです。こういった流れが始まって、まだ30年〜40年位しか

経っていないと思います。大工さんたちが家づくりをはじめてから数百年経っていますから

歴史の長さから見ても歴然としています。

ではなぜ、今設計事務所に家づくりを

頼む必要があるのでしょうか?

それは、家づくりを取り巻く環境が日々複雑化し、多様化しているからです。

法律・敷地状況・地球環境・耐震理論・素材・設備システムなどなど

考えなければならないことや知っておくべきことが山積みです。

そんな状況下で情報だけが異常なまでに一人歩きしているのです。

建主さんにとって家づくりは不安要素の塊になってしまいました。

さらに困ったことに、発達した情報網によって偏った知識を持ってしまった

建主さんも増えています(笑)もちろんこだわりを持つことは

とても大事なことだと私は思っていますが、

家づくりのハードルはぐんぐん上がってしまうわけです。

さて、ここからが本題です。

つまり、我々設計者の役割は、その複雑な情報や条件を整理して、

お客さんの希望を盛り込み、安心・安全な形にする指針図を描くということなのです。

もちろん、ハウスメーカーや工務店、大工さんも同じことが出来ると思います。

ただ、検討している時間が短かったり、可能性の間口を広げることはしませんので、

ある程度決められた仕様や形で妥協をしなければなりません。

要するに他人の家づくりをお金儲けのためだけでなく、

思想を持って取り組んでいるのは設計者だけなのです。

ただ、裏を返せば家づくりに情熱がなかったり、ただ安ければいいのであれば

設計者に依頼する価値は無いということです。それはそれで寂しい気もするのですが…

どちらにしても住宅の設計者は皆さんの当初のイメージとはかなりかけ離れた

仕事をしています。デザイン性を追求している設計者も中にはいますが

本当に少数です。特に私が関わっている、伝統的な家づくりのジャンルでは、

現行法の中で、いかに金物を使わないようにするか等、違った意味での

デザインに集中していく必要があるのです。

こういった難しい条件をひとつずつクリアーしていき、

自分たちが一生住む家にこだわりたいのであれば、

計画するためにある程度の時間と費用がかかります。

その費用が高いと感じるかそう思わないかは

それは何ともいえません。

ただ、出来上がった家の満足感や安心感はお金には代えられないものだと、

過去の建主さんたちは言ってくれました。

(私が言うと嘘くさいですが)(笑)

是非とも家づくりに興味を持って、

住宅設計者の役割を感じていただければ、一設計者として幸いです。
posted by KEYAKI at 07:00| Comment(0) | 今月のコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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