本物の素材と伝統の技術でつくる、温故知新な木の家づくりを現場単位で公開しています

2010年10月05日

なぜ伝統的な木造住宅にこだわるのか

今月から毎月一度、この場を借りてコラムを書いていこうと思います。

記念すべき第一回目はそもそもけやき建築では、

なぜ木造?しかも金物を使わない木造住宅にこだわっているのはなぜ?

というテーマに迫ってみたいと思います。

今や住宅をつくる手段や材料は数限りないほど世の中に存在しています。

昔は家をつくる手段が木や石しかなかったのですが、

今は鉄骨やコンクリートなどを主構造に用いた住宅や、

木造でも集成材と呼ばれる強度をコントロールされた木材を使ったものなどがあります。

その中で私が普通の木造を選択している理由は簡単です。

住宅が木造で出来る規模としては最良だと思うからです。

もちろん例外もありますが、基本的に木造は小規模の建物に向いています。

昔は木造しかありませんでしたから、東大寺大仏殿のような大きな建物も

何とか木造でつくったのですが、今なら鉄骨やコンクリートを使ったほうが

楽に決まっています。木は鉄やコンクリートに比べて強度がありませんので、

あまり大きな空間をつくることが出来ません。

ただ、反面小さな空間なら比較的簡単に早く安くつくることが出来ます。

しかも日本は木材が調達しやすく近くに木造の出来る大工さんも

たくさんいますので、木造で建てる環境や仕組みが整っています。

それに加えて環境にも適した材料で、二酸化炭素もたくさん固定化しますし

植えれば育ってまた数十年後にはまた使うことができます。

永久不滅の材料な訳です。こんないい材料が他にあるでしょうか?

つまり他のつくり方にするまでもなく、木造で十分すぎるということなんです。

それではなぜ木造の中で伝統的な部分にかたよっているのか?という部分ですが、

まず、何が伝統的で何が伝統的でないのか?ということを簡単に説明しましょう。

偉い先生方が難しい説明をたくさん並べていますが、

基本的には構造用の金物を使わずに成立している建て方が

伝統的なつくり方と言えます。大きなポイントは金物です。

よく建主さんに、「釘を使わない建物ですね」なんていう表現をされますが、

昔の建物でも釘は普通に使っています。板を張る場合などは必ず使います。

釘は部材同士を密着させるもので、

金物は、構造に関わる部材同士を緊結させるものです。

つまり金物に頼っている住宅は、伝統的でない住宅になります。

いわゆる在来工法やツーバイフォーと呼ばれるつくり方です。

これらが現木造住宅の9割以上のシェアを占めています。

私がこだわっている伝統的な木造住宅は残りの1割以下に入ります。

たぶん1%以下じゃないかと思います。

ものすごく少数派であることは間違いありません(笑)

なぜ金物を使ったつくり方が主流なのか?という話はまた次の機会に譲ることにしますが、

私が金物を使わない木造住宅にこだわるのは

金物が信用出来ないからです。

皆さんには、なぜ?と思われるかもしれません。

ちなみに構造用金物として世の中に出回っている商品は、

実験等によって国がきちんと認定して、お墨付きがついています。

強度が保証されて施工手順さえ間違えなければ安全だと言われています。

それでも私は金物が信用出来ないのです。

それは、経年変化に対しての安全の保証がしきれないからです。

金物を使った建物の実験結果や強度の数値はあくまで建ててすぐの結果です。

10年後20年後も同じような結果になるかどうかはわかりません。

私は中古住宅のリフォームや耐震診断の依頼を受けることがあります。

その調査の中でほぼ100%の確率で構造用の金物が緩んでいます。

手で回せるものもあるくらいです。

この現象は木造を知っている大工さんや設計者なら誰しも経験があるはずです。

なぜ金物が緩んでしまうのでしょうか?

それは、材料である木が痩せるからです。

木はたくさんの水分を含んでいます。伐られてから材料になる間に

その水分がどんどん抜けて乾燥していきます。

0%になることはないのですが、建物を建てる時には最低25%〜30%位の

材料を使います。それでも時間とともに15%位までは落ちていきます。

水分とともに体積が減りますので、それと共に木が痩せてしまうのです。

この現象を食い止めるために、金物メーカーは緩みにくい金物の商品開発をし、

材木屋さんは木の乾燥や集成材づくりに必死になっています。

その甲斐あってひと昔前より格段に性能は上がっているのだと思います。

ただ、それでもこの先どうなるのかは誰もわかりません。

アスベストも昔はとっても便利でいい材料!というフレーズで

たくさんの建物に使われてきました。後になって、

人体に影響のある材料でしたと言われても、困るわけです。

そういった意味で、私が木造住宅で信頼できるつくり方、

建主さんに胸を張って安全ですよと言えるのは

金物に頼らない昔ながらの伝統的な木組みの家しかないのです。

なんといっても、歴史が物語っています。

100年以上建っている建物はざらに残っていますし、

手入れをしていけば、もっと長く持つことが、現時点で立証されています。

材料が多少湿っていても木と木で組んでいますから、緩むことはありません。

むしろ時間が経つにつれ固まっていきます。

古い民家を解体するとなかなか固くてはずれません。

現代工法に比べ、予算や時間が掛かってしまうということで、

切り捨てられてしまった伝統的な木造住宅ですが、

こんなに日本の風土に合っている建て方はないと思っています。

材料や技術も今ならまだ身近なところにあります。

家づくりを考える際に、少し立ち止まって考えてみてください。

長くなりましたが最後までありがとうございました。来月へ続く。
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posted by KEYAKI at 20:13| Comment(2) | 今月のコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日の金山サミット、お疲れ様でした。
宮古島の伊志嶺事務所スタッフの大石です。覚えてますか?
コラムを読んで大変共感しました。本物の家づくりをされてらっしゃるんですね。
私住むの沖縄は建設される住宅の99パーセントがRC造で、地産地消の家づくりが大変困難な地域ではありますが、けやき設計さんのような信念を持って課題に取り組んでいこうと思ってます。いつかそちらの事務所で設計した住宅を見てみたいです。その際はどうかよろしくお願いします。
Posted by 大石寛之 at 2010年10月06日 13:43
先日はお世話になりました。もちろん覚えていますよ。ウコンがホントに効きました。ありがとうございました。沖縄では木造がほとんどない事実を最近まで知りませんでした。海の近くや風の強いところは実は木造の方が適していると思います。しかも金物に頼らない木組の家は吹き飛ばされなければ、最良の工法のひとつだと思います。少しでも沖縄に木造が増えていくことを願っています。関東にも是非お越しください。いつでもご案内しますよ。
Posted by けやき at 2010年10月06日 22:21
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