本物の素材と伝統の技術でつくる、温故知新な木の家づくりを現場単位で公開しています

2011年02月16日

木の家が高いのは何故?

よく色々な方からこう言われます。

「伝統的な木の家はいいけど、高いんでしょ?」

高い安いというのは

それぞれの価値観にもよりますので、

一概に「高いです!」とは

言いませんが、世間一般に建てられている

建売住宅や、大量供給型の住宅と比べると

相当高いものになると思います。

ただ、私は決して高いものとは思っていません。

長く使っていただけるもの、

愛着の沸く住宅としては

適正な価格だと思いますし、

住宅の寿命で考えていただけるのであれば、

むしろ安いものだとも思っています。

では何故そこまで価格に差が出てしまうのか?

この疑問を紐解いてみましょう。

まず、価格に差が出る大きな要因として3つ

挙げることができます。

@ 造りかたが違う

A 資材内容・建材価格が違う

B 職人の賃金が違う


1つ目の造り方が違うというのは、

そもそもの造り方が違うということです。

一般的な住宅の場合

施工に時間がかからない事を第一に考えますので

基本的には電気工具と金物だけを使えば組み立てられる

ように出来ています。当然骨組みを加工するのも工場で

機械が加工します。無駄を省くことと時間を短縮するという

意味では、見習わなくてはいけないような点もありますが、

正直丁寧な仕事とは思えません。

一方私たちが造っている住宅の場合

基本は大工の手刻みによる仕事になります。

工場での機械加工に頼ることもありますが、

どちらにしても最後まで骨組みが見える

真壁(しんかべ)構造になります。

間違いやキズが許されない化粧仕事になりますし、

家具等も造り付けになりますので時間も掛かります。

当然電気工具だけでは仕事が出来ませんので、

刃物や玄翁(げんのう)など昔ながらの手道具も

フル活用させなければいけません。

2つ目に使っている資材や建材の価格についてです。

これについては単純です。

使っている素材が流通に乗り

大量生産されている建材を使っているか、

少量生産で素材づくりにも

時間や手間が掛かっているものを使うのかということです。

また、1年間に数百棟数千棟建てている業者と

数棟建てている業者では、仕入値も違います。

これに関しては悔しいの一言に尽きますが、

物件数が多い業者程スケールメリットが出るということです。

業者によっては、メーカーとタイアップして、

別注の材料を大量に安く作らせている例も珍しくありません。

私も木材等は直接山から仕入れたり、

建材も一次問屋から納入するなど

中間流通をカットするようにはしていますが、

この点については大手にはかないません。

最後に賃金についてです。

人件費については、

あまりオープンな情報にはなっていないと思います。

地域によってもかなりの差があると思います。

ただ、建物の総工費のうち、6割以上は人件費が占めています。

材料費の中にもその材料を作るための人件費が含まれていますので、

かなりの割合で人件費が含まれることになります。

1つ目の造り方の問題も、時間が掛かればその分人件費は

大きくなります。

例えば大工さんの人件費を例に取ってみましょう。

私が日頃からお願いしている大工さんには

一日あたりの日当として21,000円〜23,000円程度です。

交通費や道具の損料なども含めた込み込みの金額です。

1年間に換算しますと、

約300日働いた計算で6,300,000円〜6,900,000円

が年収になります。

サラリーマンではありませんので

税金はもちろん、年金や保険料などもここから支払っていきます。

怪我や病気になったり、仕事のつなぎがうまくいかなければ

当然日当が入ってきません。

有休のようなこともありませんし福利厚生もありません。

仕事を辞めた後の蓄えも必要でしょう。

彼らは伝統的な技術を持った一流の職人ですので、

私としてはこれくらいの給料はごく普通だと思っています。

ところが、世の中の多くの大工さんたちは

日当計算で20,000円に満たない金額で働いています。

10,000円位にしかならないという話も聞いたことがあります。

もちろん技術が伴わなければそれ相当の給料ということに

なるのでしょうけれども、ローコストの背景には

末端で働いている職人さんたちが安く働かされている現実があります。

こういった理由から建物の総額に大きな差が出ているのです。

どう頑張っても私たちの造る住宅では、

価格帯を現在の一般住宅に近づけていくことは出来ません。

健全な木の家にならないからです。

もちろん伝統的な木の家が全て良い訳ではありません。

デメリットも多い事から、

数が減っている現実は受け止めなければいけないと思っています。

ただ、こういった背景の中で現代の家づくりが進められていることを

知っていただき、

伝統的な木の家にも関心を持っていただけることを

願っています。

よくよく考えてみると、

決して高い買い物ではないはずですよ。

来月のコラムで伝統的な木の家のメリットについて

お話したいと思います。
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posted by KEYAKI at 23:22| Comment(0) | 今月のコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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